卵は1日○個まで!老化防止・脳の活性化にも効くってホント?
日本にとって身近な食材の一つである卵。ヒヨコが一羽育つのに必要な栄養素がすべて詰まっており、「完全栄養食品」といわれるほど栄養価の高い食材です。その一方で、コレステロールが高く1日1個以上食べると体に悪いという話も聞きますが、実際のところはどうなのでしょうか。知っていそうで意外に知らない卵の基礎知識をご紹介しましょう。

■卵は完全栄養食品! アミノ酸、ビタミン、ミネラルの宝庫

※全国鶏卵消費販促協議会発行 くらしの中のたまごシリーズ⑭ の6ページ参照
卵は、食物繊維・ビタミンC以外の栄養素をすべて含んでいるため「完全栄養食品」とも言われています。なかでも、アミノ酸、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれているのが特徴です。
卵が良質のたんぱく質源として注目されているのは、人間の体内で合成できない8つの必須アミノ酸をバランスよく含んでいることに由来します。アミノ酸のバランスを示す「アミノ酸スコア」は最高点の100点です。 また、鉄分・カルシウムなどのミネラル、ビタミンA・B2・B12・Dなどのビタミン類も豊富で、卵黄に多くの栄養が含まれています。
卵を加熱すると、ビタミンB群などがやや減少するものの、基本的に栄養価の大きな変化は見られません。玉子焼きにして食べるだけで、体が必要としている栄養を摂取できる優秀な食材です。
■卵は優れた機能性食品! 老化防止・脳の活性化などにも
卵は栄養価が高いだけではなく、健康にとってよい効能がたくさんあることでも注目されています。
まず、卵白に含まれる「リゾチーム」という酵素は殺菌作用があり、風邪薬にも使用されている成分です。また、「メチオニン」という必須アミノ酸は、活性酸素を抑えて老化を防止したり、デトックス作用などの効果があることで知られています。
卵の成分で注目したいのが、人間の細胞膜の主成分でもある「レシチン」というリン脂質の中に含まれる物質「コリン」です。コリンには、脳の活性化、中性脂肪やコレステロール量の調節、血圧低下、新陳代謝促進などさまざまな効能があり、アルツハイマーや生活習慣病の予防などの効果が期待できます。
■1日何個まで食べていいの? 卵にまつわるウソ・ホント

・卵はコレステロール値が高いから1日1個までしか食べてはいけない ?これはウソ!
健康な人であれば1日に2~3個食べても大丈夫です。ただし食事制限が必要な人は医師の指示に従いましょう。
①〈疑問〉でもコレステロールを上げるんでしょ?
→これも誤解でした!
・誤解の始まりは、ウサギの実験
そもそもタマゴがコレステロールの代表のようにいわれるようになったのは、約90年前。1913年、ロシアでの実験がきっかけでした。コレステロールが人体に与える影響を調べるために、栄養価の高いタマゴを、草食動物のウサギに食べさせて実験しました。その結果、動脈硬化のもとといわれる血中コレステロールが増加し、タマゴ=コレステロールの印象がうまれてしまったのです。これが、誤解の始まりです。 ウサギは草食動物なので、動物性の脂肪を含むタマゴを食べさせればコレステロールが増加するのは当たり前のこと。しかし,人間は雑食性なので、動物性の食品もたくさん食べますが、常にコレステロールが増えるわけではありません。そこで最近では、このロシアのコレステロールの実験は、科学者の間でも疑問視されています。
・最近の実験では、卵は心配無用
日本でも1981年に、人体とコレステロールに関する興味深い研究結果が発表になりました。健康な成人に、1日5~10個のタマゴを5日間連続して食べさせるという実験です。その結果、1日に10個ずつ食べた人でも血中コレステロールの値はほとんど変化しないことがわかりました。 また、最近の実験でも、普段の食事以外に、1日にタマゴを3個ずつ、しかも2週間食べつづけてもらった結果、コレステロール値を測ってみると、ほとんど変化はありませんでした。 こうしたいくつかの実験でも分かるように、タマゴや他の食品からコレステロールを多く摂っても、必ずしもコレステロールが増加するわけではないのです。
・コレステロールも必要
コレステロールは人が生きていく上で必須の栄養素です。通常、体内で80%精製し、20%を食事から摂っています。人間は(草食のウサギとは違い)このバランスをとって全体量を調整することができます。また、野菜と一緒に摂ったり、オレイン酸(オリーブオイル、アボカドなど)と一緒に摂取することで、コレステロールの悪い働きを弱めることができます。
②〈疑問〉食べ方は?
⇒白身固めて黄身半熟がベスト!
過熱しても栄養素に大きな変化はないそうです。 ただし、 ・ 生食だとそのままアミノ酸として摂取が可能 ・ 白身に熱を加えると、黄身に含まれる栄養の吸収を"妨げない" という点で、白身を固めて黄身が半熟の状態が栄養を効率よく吸収できます。
③【疑問】食べ合わせは?
⇒ビタミンCを含む食べ物と♪
完全栄養食品と言われていても、「ビタミンC」と「食物繊維」を含有していません。これらを補う食品と一緒に摂ると効果的です。
例えば ・ じゃがいも(ビタミンC) ・ さやえんどう(ビタミンC、食物繊維) また、前述の通り、オレイン酸と一緒に摂取することで、コレステロールの悪い働きを弱めるとができます。

【まとめ】
毎日冷蔵庫にある卵は、実は食べるだけでアンチエイジングになる食材なのです。1日1個は欠かさずに食べて、日頃の栄養補給に役立てたいですね。