【セミナー参加レポート】AI時代に進化するサイバー攻撃と企業に求められる対応力〜「守り」の徹底が創る医療・介護DXの信頼〜
【セミナー参加レポート】AI時代に進化するサイバー攻撃と企業に求められる対応力〜「守り」の徹底が創る医療・介護DXの信頼〜の記事です。

デジタル技術の急速な進展に伴い、ビジネスの現場では生成AIをはじめとする先進テクノロジーの活用が日常化しつつあります。その一方で、サイバー攻撃の手口も急速に高度化・巧妙化しており、企業のセキュリティ対策や事業継続計画(BCP)の重要性がかつてないほど高まっています。
先日、早稲田大学大学院情報生産システム研究科(IPS)と北九州コンソーシアムが主催する情報共有会に参加してまいりました。
本記事では、セミナーで共有された「AI時代における最新のサイバー脅威と企業の防衛策」、そして「中小企業における実践的なAI業務自動化の要点」について、当社の視点を交えてレポートいたします。
1. AIが悪用される時代のサイバー攻撃〜手口の高度化と求められる多層防衛〜
第一部では、株式会社レオンテクノロジー 執行役員の江ノ本 司氏より、「AI時代に進化するサイバー攻撃〜企業に求められる備えと対応力〜」と題したご講演をいただきました。
攻撃の本質は不変、しかし「速度」と「巧妙さ」が劇的に進化
「AIを使ったサイバー攻撃」と聞くと、映画のような未知の攻撃を連想しがちですが、攻撃の基本構造(公開システムの脆弱性や人の隙を突いて侵入する)自体は従来と変わりません。
しかし、攻撃者がAIを活用することで、以下のような大きな変化が生じています。
- 脆弱性探索の自動化・高速化:システムやネットワークの弱点を探し出すスピードが桁違いに向上している。
- ソーシャルエンジニアリングの高度化:生成AIや音声合成技術が悪用され、不自然さのない精巧な標的型フィッシングメール、さらには役員や取引先を装った偽音声・動画が容易に生成されるようになっている。
一般的なサイバー攻撃は、「①標的・脆弱性情報の収集」→「②マルウェアやコードの準備」→「③メールやWebを通じた侵入」→「④バックドア構築・データ暗号化・身代金要求」というプロセスを辿ります。攻撃の準備段階や侵入経路においてAIが巧みに悪用されているのが現状です。
最も狙われやすい「人的要因」への対策
江ノ本氏のお話の中で特に印象的だったのは、技術的な対策(脆弱性管理や早期検知、資産管理)はもちろんのこと、「人的対策」と「組織的対策」の徹底が防衛の要であるという点です。
- 自然な文面・音声を過信しない:どれほど自然な日本語の連絡であっても、不審な指示や急な情報提供依頼に対しては「別の正規ルート(電話や対面等)」で再確認するプロセスの徹底。
- 心理的ハードルを下げる報告文化:「ルールを決めても人はミスをする」という前提に立ち、万が一不審なメールを開いてしまったり異変を感じたりした際に、躊躇なく迅速に報告・相談できる心理的安全性の高い組織風土の構築。
- 事業影響度(BCP)の事前把握:万が一システムが停止した場合、自社の各業務やサービス提供にどれほどの影響が出るのかを平時から定量的に把握し、復旧手順を整えておくこと。
外部委託先(サプライチェーン)におけるプログラムやセキュリティの管理責任の所在も含め、自社の情報資産とリスクを網羅的に把握することの重要性を再認識しました。
2. 中小企業におけるAI推進の壁と「2つの決めごと」
第二部では、北九州AI業務自動化推進会 代表および株式会社CHK GROUP 代表取締役の石坂 保人氏より、中小企業におけるAI活用の現場課題についてお話しいただきました。
現場でAI導入や業務自動化がスムーズに進まない背景には、主に次の2つの決めごとの不足があるといいます。
- 自社のどの業務をまずAIに任せるか?
- 何をAIに入力してよいのか(社内ルール・情報の線引き)が明確か?
AIの出力をそのまま使わない――プロフェッショナルの責任とチェック
AIは調査、アイデア出し、定型的な文章の下書きにおいて極めて高いパフォーマンスを発揮します。しかし、AIが生成したテキストを検証せずにそのままコピー&ペーストして外部に発信してしまうと、事実と異なる情報(ハルシネーション)の拡散や、画一的で人間味を欠いた対応となり、顧客からの信用を損なう原因になります。
「AIを頼もしいアシスタントとして活用しつつ、最終的な事実確認・文脈判断・責任は人間が負う」という姿勢の徹底が、AIを味方につけるための不可欠な規律です。
3. 産学連携が切り拓く先端テクノロジーと地域DX
本勉強会では、早稲田大学大学院(IPS)テラヘルツ集積システム研究室による最先端研究の紹介も行われました。
テラヘルツ波を用いた技術により、非破壊・非染色で微細な傷を可視化したり、将来的には癌細胞の早期発見やインテリジェントサージェリー、さらには衛星間通信による大気汚染モニタリングへの応用が期待されています。医療・ヘルスケア分野の未来を切り拓く技術の可能性に、大きな感銘を受けました。
また、DX部会からは、企業が自社の現在地と目指すべきステップを可視化するための「DX推進ロードマップ(地図)」の策定状況が報告されるなど、地域産業全体でデジタル化と人材育成を加速させる活気あふれる取り組みが共有されました。
4. 当社の見解と今後の取り組み:強固な「守り」こそが、最高の提供価値になる
医療・看護・介護をはじめとする人々の健康や生活に関わる現場において、お預かりしている情報資産や医療データは極めて機密性が高く、万が一の漏洩やシステム停止は事業のみならず利用者様の生活や生命に直結します。
一般的に「セキュリティ対策やコンプライアンス遵守は、直接的な売上を生まないコストである」と捉えられがちです。しかし、私たちはそうは考えません。
私たちが目指す「攻めと守りが調和した医療・介護DX」
- 「守りの強さ」がもたらす揺るぎない信頼
確固たるセキュリティ基盤と徹底したBCP(事業継続計画)を整えていること自体が、利用者様、ご家族、そして地域の医療機関・連携事業者様から選ばれる最大の理由(=信頼という価値)となります。 - 現場知見を活かしたベストプラクティスの還元
自社でのGoogle Workspace運用やアクセス管理、従業員教育、AIツールの安全な利用ガイドラインの策定を通じて得られた知見は、同じ課題を抱える地域の事業者様やパートナー企業様へも還元できる重要なノウハウとなります。
当社はこれからも、最新のテクノロジーを積極的に現場に取り入れながら、情報セキュリティとガバナンスという「足元の守り」を強固に固め、関わるすべての皆様に安心していただける質の高いサービス提供に努めてまいります。
