🏥 学会参加報告:11年目の訪問看護ステーションが目指す未来
- プーラビダ
- 4 日前
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令和7年11月29日、30日、日本在宅看護学会に参加しました。そこで得た学び、内省、そしてそれを自社(プーラビダ)にどう落とし込むかを、セッションごとに報告します。
1. 🎤 学術集会長講演:「目標を叶える看護」への進化
学術集会長の講演では、「在宅医療の質の向上と、その先の患者様の自己実現」をテーマに、訪問看護が担うべき役割の進化が示唆されました。
項目 | 学びと言語化(講演内容) | 内省と課題 | 実務への示唆&自社への落とし込み |
患者様の目標 | ADL、IADLを拡大し、「不幸にならない」にとどまらず、その人の目標を叶える看護へ。 | 介護保険分野の利用者様の目標を看護計画に載せる仕組みが未熟だった。100%の生き方を証明するデータ取得の必要性。 | 全利用者様の目標にその人の声を載せる仕組みを作る。在宅日数の自動データ取得を開始する。 |
Hospital at Home | 病院と同等レベルの急性期医療を在宅で行うシステム。NP(特定看護師)の活用。 | 特定看護師は在宅医と競合する可能性があり、地域の必要性を調査する必要がある。(特に在宅医が充実している八幡西区) | 特定看護師の有用性を把握するための調査を進める。過疎地での重宝される可能性も考慮し、経営判断の材料とする。 |
病院連携 | 退院調整をスムーズにするためのラダーづくりを病院と協働する。 | 大学病院での経験から、「退院させられない」という医療者側の壁を何とか解決したいという強い課題意識がある。 | 病院と一緒に退院調整ラダーを作成し、医療者が安心して在宅へ送り出せる環境を整備する。 |
社会貢献 | 国の制度利用、国との協働研究、業界団体の活動参画(看護系学会等社会保険連合など)。 | これまで団体での意見集約や国との協働はしていなかった。業界全体に力を持たせるための活動参画が必要。 | 看護協会・訪問看護の団体と活動する。大学と連携した研究を進め、自社の志を実現するための行動を始める。 |
経営基盤 | ベースアップ評価料の算定。訪問看護にも十分な報酬が必要。 | - | ベースアップ評価料を算定する。国への活動とも連携し、訪問看護の報酬改善を訴える。 |
2. 📊 訪問看護の質向上に向けた評価指標の標準化研究
訪問看護の新規参入が増加し、「質のばらつき」が目立ち始めた今、質を担保し、向上させるための「評価指標」の標準化が急務であるという提言がありました。
言語化された学び:
国は訪問看護の大規模化を推進しているが、過剰サービスや質のばらつきが課題になっている。
訪問看護の質の指標(例:寝室から外に出た回数など)がいくつか存在している。
アメリカでは国民がアクセスできる情報サイトがあり、住所を入れるとおすすめのサービスを提示してくれる。
ポジティブ事例検討会:粗探しではなく、良いケアに自信を持ち、質を改善するアプローチが重要である。
内省と課題:
これまで訪問看護の質の評価を本格的に導入していなかったため、早急に取り入れたい。
事例検討会というと「粗探し」のイメージがつきがち。ポジティブな事例検討を通じて、メンバーの自尊心ややりがいを向上させたい。
自社(プーラビダ折尾)は中規模になったが、加盟店はまだ小規模。規模を拡大するための戦略を練る必要がある。
実務への示唆&自社への落とし込み:
訪問看護の質の指標について調査し、自社に取り入れる。
ポジティブな事例検討会を開催し、ケアへの自信を育む。
教育システムを誰もが使える形で構築する。(プーラビダメンバーの現場の声と研究者・開発者の力を合わせる)
小規模から中規模にするための戦略を具体的に練る。
3. 🖥️ ランチョンセミナーZEST:DXによる業務効率化
営業活動や訪問スケジュールの管理など、訪問看護の事務作業を効率化するためのDXツールについてのセミナーでした。
言語化された学び:
訪問前後での営業先の候補をシステムが出してくれる。
ケアマネが紹介をくれる確率などを分析し、営業に行きたくないマインドを変えるサポート。
キャンセル理由から振替ルールを設定し、訪問件数減を防ぐ仕組み。
訪問件数だけでなく、訪問時間を棒グラフで可視化する機能。
内省と課題:
プーラビダのDX(ほぽたくん)は、全国のステーションの一歩も二歩も先を行っていると自信を持てた。
ただし、この便利さに満足せず、機能の見直しや新たな価値創造を続ける必要がある。
件数に応じた手当が、訪問時間を完全に考慮した形ではなかった。
実務への示唆&自社への落とし込み:
訪問件数だけでなく、訪問時間も可視化する機能を取り入れる。
ハザードマップなど、まだ「ほぽたくん」にない機能を順次載せていく。
訪問時間を考慮した手当の見直しを検討する。
4. 📝 BCP:企業存続のための守り
BCP(事業継続計画)の重要性について再認識しました。
言語化された学び:
災害時の安否確認やトリアージ表をホワイトボードなどで簡単に作成し、毎月確認する。
内省と課題:
BCPは企業の存続を守るための**「守り」**であり、不可欠な取り組みである。
実務への示唆&自社への落とし込み:
まずはホワイトボードで安否確認・トリアージ表を作成し、運用を開始する。将来的にはデジタル化も検討する。
【結び】
この学会で得た学びは、プーラビダが目指す「利用者様の100%の生き方を実現する」という目標を、より高いレベルで実現するための道筋を示してくれました。特に「11年継続」という信頼を裏切らないよう、システムの進化と、質の担保・向上に全力で取り組んでまいります。
浦濱 広太朗






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